たいへき 第4話 4種 空気感を把握して集団の調整役ができる

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第4話 4種 <情動ベースタイプ(内向き)>

〜先天的はない。今発火していると捉える。10種類の全てをのばす〜

ちま「次は、3種性『情動ベース外向き』と同じ軸の4種性『情動ベースの内向き』の話だね。
これは……
3種が情動ベースで外向きなのはわかりやすいよ。
パァァってなって「大好き!」って感じでしょ?
それはわかりやすかったけど、
情動ベース内向きって何?自分が好きってこと?」

主人「全然違うね。(バッサリ)
4種は簡単に言うと、嫌われたくないし嫌いたくもない。だね。これは空気感を把握して同調する力が強いということ。
3種が周りを雰囲気で巻き込んでいく(ムードメーカー)のに対して、4種はあくまで受動的に、相手自身も認識しない微細な点まで読み取っていくというタイプだ。
個人に対してだけでなく、集団の細かい齟齬や違和感に気を配れる調整役として機能するようなパターンが多い」

ちま「必要な人だ!」

主人「日常的な社会生活を考えるとわかりやすいね。ただ、その気配りが他の種の人には余計なことと映ることもある。それどころか、繊細すぎてそもそも配慮として認識すらされないことも多々ある」

ちま「報われないなあ……」

主人「4種的には、それは織り込み済みで本望という部分もあるね。承認欲求狙いのあざとさとは一線を画すものだ。もちろん、褒められれば嬉しいけど、全体の調和を尊んで、その価値をきちんと読み取ってもらえることを喜ぶ感じ。

だからこそ、その繊細な調整の価値を軽んじられ続けたり、まったく台無しにされたりすると、ポッキリ折れてしまう。

4種の人については、いなくなってしまってから周囲が気づく……
なんてパターンも多いかも」

ちま「そういう人、いるよね……」

主人「現代日本には、細かいところに気づいてしまうがために、他人の言動に傷つく『繊細な人』をはげます本もたくさん出ている。
それだけ思い悩む人が多いということなんだろう。
『繊細さん』『敏感な人』で調べると関連書籍がヒットすると思うので、状況が気になるならあたってみると良いと思う。まあ、内容は一面的だから、流す程度で良いけどね」

ちま「多そうだね。いかにも売れそうだし」

主人「日本は非言語の同調圧力が強い。つまり日本社会は『言わずともわかる』文化なわけだ。これは4種的な要素が強いと言える。ちなみにアメリカの社会は5種的といえるかな」

ちま「じゃ日本では、必要に迫られたり、訓練したりして、『後天的に4種性を身につけた人が多い』ってこと?」

主人「半分正解。俺の考えではたいへきに先天的も後天的もないんだ。もちろん性格に遺伝的要因はあるし、エピジェネティクスといって受け継いだ遺伝が発現するか否か、環境によって決定づけられるという要素もある。たとえば、生まれたばかりのネコに目隠しをさせたまま半年とか生活させると、もう目隠しをはずしても視力が戻らない」

ちま「ネコ、かわいそう……」

主人「(無視して)こうした遺伝要因と環境要因は、複雑なヒト思考や価値観を論じるにはまだまだデータが足りない。
だから生得的とか属人的というのはあくまでも方便的な捉え方として限定すべきで、その瞬間の発火として直視するのが現実的なんだ。これはたいへきという枠組みに限らずだね。

だから『日本社会では、4種の発火を自然と要求されるケースが多い』という表現が適切だと考える。
個人レベルだけでなく、4種の発火を社会的に求められる局面は多いよね。コンビニやATMで自然発生するフォーク並びとかはその典型だ」

ちま「じゃあ、本来のたいへきがほかの種なのに、4種性を必要とされたもんだからどんどん4種性をのばしていった……
そういう人が多いということ?」

主人「そういうことになるね。

ただ、外からの要求によって、形式的な態度としての4種性を強いられるわけだから、内発的な4種性ではない。
とくに、生来的に4種性の低い人が、4種性の上っ面だけを、これまた生来的に4種性の低い人に強いるという『教育』は、本来持っている特性に対しての抑圧を生むだけでなく、4種性の闇を再生産するんだ。4種の内発的動機や文脈背景や、4種なりの報酬系や喜びポイントをまるっと無視するわけだからね。

たいへき的な理想を言うと、10種の要素のいずれも『のばす』こと。それぞれの形質を美点として『品あげる』のが人生の目標、というように理解してほしい。

これはいま自分の一番強く出ている種でなくても『のばせる』ということ。たいへきは特性であって美点も悪徳もついて回るし、それは文脈背景に依存する。もっとも基本的な背景は『意識状態』つまり心構えになるんだ。
これも複雑な話なので、あとで解説する」

ちま「よろしく。
あと4種の人の特徴や注意することはあるの?
あまり前に出るタイプじゃないみたいだけど」

主人「そうだね。
4種の人は『うん、うん』てよく聞いてくれる。共感力と同調力が高い」

ちま「うん、うん(4種のマネ)」

主人「矛盾や齟齬があっても、いちいち話の腰を折るような突っ込みを入れたりしない。それでいて聞き上手だ。聞き取りや相槌の機敏の妙だな。他の人には話せないような本音や、取り乱しも、基本、まるでそんな事実などなかったように接してくれる。安心感と信頼性を醸し出す人が多い」

ちま「うん、うん(4種のマネ)」

主人「そして、こちらがやらかしてしまったとき、誠意を見せて謝罪すれば、それを読み取って、受け入れてくれることも比較的多い。もちろん場合と程度にはよるけど、聞く耳も持たないということはほとんどない。そもそもが繊細ゆえに、同じ基準で繊細な扱いを受けられないのは織り込み済みという自覚があるわけ。だから、そんな4種性をみて、過剰に侮ったりエスカレートしたりする人も出てきたりする。でも、4種性の人はたいがい全部覚えているんだな」

ちま「うん?」

主人「で、折れる。許容量を超えると、突然シャッターが閉まる」

ちま「ウン!?

4種

主人「もうそれ以降は受け付けない」

ちま「なにそれこわい」

主人「仕事なら、突然やめたりする」

ちま「!?」

主人「突然辞表が出たりするんだ。
実は事前に4種的なサインを出していたりするが、他の種の人はそこまで読み取る力がないので、気づかれないことが多い。
だから周囲には突発的なように見える。怒らせた本人が一番衝撃を受けてたりもする」

ちま「よくマンガとかで『あれか?!気づかねーよ!』みたいなモノローグあるけどあんな感じなのね」

主人「現実だとメタ解説してくれる仕組みがないので、謎は謎のままになることが多いな」

ちま「そうだよなあ」

主人「4種が何かやらかした時に現場を押さえないといけないのは3種と同じ。軸は同じだからね。
情動は瞬間で発生するし、冷めるのも一瞬の心の動きだ。
ただ3種と違って、4種はその現場を押さえなくても『うんうん』って聞いてくれるし、覚えてもいるけど、今度は『じゃあなんでその時言ってくれなかったの?』となる。
その返しは『4種こそそうじゃん』と言うと黙ると思うけどね。
『それはそうだけど……』って」

ちま「そうなんだw」

主人「たぶん『それはそうだけど、私はあなたの本意を聞く心構えも実践もあったけど、あなたは聞いてくれたこともそのつもりもなかったでしょ!?』と続くんだろうな。そのまんまで返ってこなくても、間違いなく内心ではそう思ってるはずだ」

ちま「あー、そうくるのか」

主人「4種は言うならば『エソテリック』なんだよ」

ちま「エソ……??」

主人「『エソテリック』ね。秘伝的、奥義的という意味だよ。
オカルト(隠す)の原義でもある。
オカルトという言葉は本来『隠す』という意味。
誰にも見られずひっそりと。イメージは丑の刻参りが近いかもね。
複数人でやる儀式なんてのは、『隠れていない』という点で、本来のオカルトの意味とはかけ離れる。密教的といえるかもだけど、オカルトはより「個」のイメージだね」

ちま「意味が変わって一人歩きしてるんだね。
『オカルト』にそんなイメージなかったよ」

主人「4種は誰かの開示もエソテリックなもの・神秘的なものとして受け取ってくれる。それは貴重なものとして丁重に扱ってくれるということ」

ちま「こちらの言い分を大切にしてくれるなんていい人だね」

主人「4種は話を聞いてくれるし付き合いやすいが、逆に4種の人の本音を聞き出すことは困難をきわめる。
4種の人に心を開いてもらうには、『あなたと同じくらい細かいところに気がついて、共感できる人ですよ』と、4種その人の基準で読み取らせなければならないんだ。一瞬でラポール形成は難しいから、時間をかけて読み取りを待つ感じになることがほとんどだ」

ちま「そうまでしないと心を開いてくれないの?」

主人「むしろ、『なぜ周りの人は4種の自分のように繊細に時間と手間をかけて対象を理解しようとしないのか、それがわからない』のだと思うよ。

基準や尺度の違いに思い悩むのは皆、そうだけど、4種の人は繊細に理解を深めることに心血を注ぐだけに、その温度差の認識と諦めはいかほどかと想像する。

決めつけを嫌うから、やらかしてしまった時、和解の窓口などには適している。その分、4種の人が出した決断には重みもあるわけだけだ」

ちま「それ、わかるなあ。責任者って感じ」

主人「そうそう。レアケースではあるが、4種がリーダーのグループがまれにある。
すると、4種のリーダーは感受性豊かだから、メンバーのためにグループのために奔走すると思う。
しかし、他の種の人は4種のリーダーほど感受性豊かじゃないから、人的環境がよほど整ってないと、4種のリーダーはとくに気疲れしやすいだろうね。4種性を理解して、負荷をかけすぎないような状況でないと、潰れてしまう。それに何より、周囲の成長機会を損なってしまう」

ちま「難しいね」

主人「4種が自分を出せる環境は、他の種にとっても自己開示しやすく、居心地がいい。と言える。さっき、日本人は4種性が強いという話になったね」

ちま「なったなった」

主人「それは日本人は農耕をするから、という背景があるからかもしれない。そして水害や地震などの天災も多い。
例えば遊牧民は移動が前提だから、それを前提とした暮らしになる。個人主義や資産などの権利意識は彼らの生命線だ。
一方で農耕は同じ場所に住み、大きく移動することは前提ではない。世代をまたいだ社会が形成される。これは大きな違いだ」

ちま「それはずいぶん違うだろうね」

主人「一言で言うと『ムラ社会』だね。
もちろん良い面ばかりではないが」

ちま「ムラ社会…… あまり良いイメージはないよね」

主人「まあ。実のところ生存や集団生産性という意味では、良いポイントも多い。天変地異が起きた時に表立って潰しあわない。機に乗じての大規模な掠奪なども起きにくい。先の震災の時にも話題になったろう?」

ちま「なったね。あの有事の際にも行列に並んでいた光景は外国の人に驚かれたようだね」

主人「あれは4種性の国民性が現れている、といってもいいだろうと俺は思う」

ちま「私たち日本人からみれば当たり前の光景なんだけどね」

主人「俺らは4種的な文化の中で育っているからね。
4種のポイントをまとめると、他の人が気づかない繊細なところに目を向ける心配りがある。聞き取り役や全体の調整役に有用」

ちま「いいね。集団の安定には絶対必要な人だね」

主人「本人にとって嬉しいかは微妙だね。基本的には4種性ベースだと気疲れすることが多くなると思う。
今の唯物論的な世の中だと、割を食わされることが多いだろうな」

ちま「……」

主人「神秘主義者が秘教的なものを扱うレベルで、相手が開示する以上の真理を読み取る。これはすごいよね。才能だ」

ちま「たしかにそうだ」

主人「その才能、強みは今の世の中、そのままではマネタイズしずらい。主張するより聞き手に回るという性質から、収益分配では割も食いやすい」

ちま「……」

主人「今の日本社会は、4種の群れを5、7種が統率しているイメージだから、4種は搾取される側のイメージだ」

ちま「……」

主人「4種の集団は日本的な感じ。天変地異が起きやすい環境だと潰しあわないので復興が早い。そんな感じかな」

ちま「ある繊細さん向けの本の表紙には『5人に1人!?』と書いてあったよ。やはり日本人には多いのかもね」

主人「かもね。でもまあ、それは養殖された4種的な要素に過ぎないのであって、かえって4種性の本質からはかけ離れてるともいえる。養殖された4種性は既存組織や利権の下では割りを食うけど、本来の4種性は組織や利権を作りあげて制御するには不可欠な要素でもある。

本来の4種の強みと特性を最大限に活用した人は、おそらくはフィクサー的な、隠れた影響力を発揮する立ち回りをすることが多いのだろう。

その繊細な情報処理力や、ソーシャルな情報力は、調査や投資などにも活かせる強みだからね。

そういう職責や役柄って、あまり俺たちみたいな一般人にその姿は見せないだろうし、いたとしてもそういう面は隠すものだからな。少なくともそういう隠れたインテリジェンスというものがあり得るという事実と、目立たない存在を決して過小評価しないという心構えは持っておきたいものだね」

ちま「隠れた大物、それだ!」

主人「まあ大成は難しいし、役目役割の話だから規模や権力そのものの大きさは問題ではないんだ。ただ、4種の人には、どうせ繊細に時間と労力をかけてアプローチするなら、隠れた重要なものをターゲットにして、その才能とエネルギーに見合った見返りを得られるように、とくに長期累積効果を前提とした人生設計を強くお勧めしたい。

変化の大きな世の中だと、通念、世俗的価値に右往左往せず、自分の眼鏡に適った対象に対する継続的アプローチを見出すには、幅広い原体験と自身の感覚に対する無条件の信頼が重要になる。

4種の人が他者を読み取るように、自身の読み取りをすることが大切だ。あなたの存在や成長は、他者理解の土台であり担保となる実力だ。それだけでなく、それを心から望む近親者は、親や周囲の見える存在だけでなく、存在する可能性がきわめて高い。縁起は未知の未来にも広がっているからね」

ちま「4種性ベースの人は、自分にその繊細さをまず向けるべきなのね」

主人「その通りだね。若く視野が広がりきっていない時ほど、それが世界のすべてだと思い込んでしまうのは、ヒト認知のサガだ。他者把握と自己理解に非対称性があるのは確かだよ。他者把握にリソースを割くのが4種性だ。これはまさに社会性動物としての、3種性の裏の側面といえる。

現代日本で若者の自死が目立っている。そういう状況にある人たちが、明らかに何ものにも脅かされる心配が必要ないと臨場感を持って取り組める対象なり、企画なり、集まりなりが必要だね。俺もこれからつくりたいと思う」

ちま「それはぜひやりたいね」

主人「いま、そういうものが見当たらないなら、その前段の機能として集団における位置取りのマネジメントを身につけるのも良い。

それは主導権制御の技術論だけど、その実践の中で、技術論的な有利不利を越えた意志があらわれてくることがあると思う。そういうときには、既存の通年や有利不利の技術論は飛び出してしまえば良い。

その辺の機敏の読み取りは、4種性の元来得意とするところだから、そのタイミングで自らの本音を自己承認できるよう整えておけば良いんだ。ただ主導権を掌握できても、最後にものをいうのは決断力だから、一定の3種性というか、3種性の発揮しどころ、心の準備をしておくという方向性になるだろうね」

ちま「4種性ベースの人が割を食わず、自分を尊重するには、適切な仕込みがあれば良いのね。良い人が多くて普段からお世話になっているから、繊細さで及ばなくても、壁打ち相手くらいにはなれるようにしたいね」

・・・

主人「一覧表を用意したので、そちらも参考に。
深く知りたい人は『キャラクターで説明シリーズ』を参考に漫画を読んでみてもいいですよ。

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紹介された漫画本
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